「中心」すなわち内部労働市場ではなく、「周縁」すなわち外部労働市場に対してこそ、ドイツ型の技能資格の価値を考えることが必要かもしれない。外部労働市場は不熟練の雇用を意味するわけではない。熟練労働の雇用の場でもあり、しかしその技能形成は、雇用と結合した形で制度化されているわけではない。その例として先にも指摘したように、東京都大田区の中小企業群における技能形成がある。そこでは中小あるいは町工場の間の移動を通じて技能形成がなされる。
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それは「事実」としての移動を通じた「事実」としての技能形成というものだ。ゆえにその技能は「事実」としての移動可能性を保障し、この意味での移動可能性はその地域を単位として一個の技能集積を形成する。その過程は、周囲の大企業から町工場まで、必要に応じて利用可能な技能のプールを形成するという意味で、いわば「公共財」としての機能を担っているとみなすことができる。実はこのような技能のシステムが、職業別労働市場のものである。それは技能形成を産業にとっての共同の目的とし、その技能を産業が共同に利用するという意味で、技能を産業にとっての「公共財」とする。そのための条件が移動可能性である。それを「制度化」された移動可能性とするのである。