日本人の仕事の値段は一〇年間で一〇〇%以上高くなった

2011.11.24

日本経済は工業生産などの原材料やエネルギーの大部分を海外から輸入し、総生産物の七分の一を輸出して存続しているという非常に海外とのつながりの深い経済である。グローバルな市場の中に完全に組み込まれているといってよい。したがって、為替レートのような世界価格体系の変化は必ず日本国内の生産構造をそれだけ変えないわけにはいかない。ところが、国内の生産構造や生産コストの中でも最も重要な部分を占める労働に関してはなぜかその衝撃が直接つたわりにくい。

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企業の人事担当者も労組の幹部も労働の価格が変わったといえば、年々の賃金やボーナスの引上げ額あるいは率の変化くらいしか目に入らない。それらの価格はここ二〇年間くらいきわめて落着いている。年間の変化率は名目でせいぜい三〜五%であり、実質では一〜二%程度にすぎない。ほとんど微調整の範囲であり、むしろ超安定といった方が良いかもしれない。世界ではドル表示の日本の賃金は一〇〇%以上も切上っているのに、日本国内の人事・労働関係者の世界ではその変化が目に入っていないのである。変化が自覚されていない以上、人事政策も人々の働き方も変わらない。多くの会社では一〇年前あるいは二〇年前と同じように人を配置し、仕事を配分し、同じようなやり方で作業をつづけている。ところが、グローバル化した日本経済であるからそうした仕事の値段だけはこの一〇年間ですでに一〇〇%以上も高くなっている。そうしたコストがサービスや製品価格に転嫁されるから、日本は世界一の高コスト国になり、皮肉なことに最も競争力のある企業や産業が海外に流出せざるを得なくなるのである。





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